ドイツ、太陽光パネルのシリコンのリサイクル技術を開発
2022年2月、ドイツの研究所Fraunhofer Center for Silicon Photovoltaics(CSP)とFraunhofer Institute for Solar Energy Systems(ISE) 、そしてガラスのリサイクル事業の老舗ドイツReilingは、ドイツ連邦経済気候保護省(BMWK)の支援を受けて、太陽光パネルのシリコン(Si)のリサイクル技術を開発したと発表しました。
また、それを基に最新のPERC(Passivated Emitter and Rear Cell)型太陽電池セルを作製したということです。
廃棄された太陽光パネルに含まれる約1万トンのシリコンが、ドイツのリサイクル市場に毎年投入されています。この数字は2029年までに年間数十万トンに達すると言われています。
これまで太陽光パネルのリサイクルは、ガラスやアルミニウム(Al)フレームを再資源化することに成功してきました。
しかし、太陽電池セルには、集電用の配線や電極、保護用の樹脂シートなどが密着しており、それらを分離することが容易ではないために、
Siのリサイクルこれまで難しいと考えられていました。
この事業が軌道に乗れば、太陽光パネルを構成するほとんどの材料の再資源化が実現することになります。
まずガラスや樹脂を分離した後にセルを破砕して直径1mm以下の細粒にします。
次に、薬品を使った化学的なエッチング処理で、裏面電極や銀(Ag)の集電線、エミッター層などを除去して、高純度のp型のSi細粒を取り出します。
そして、このSi細粒だけを基に金属Siのインゴットを製造し、そこから現時点の単結晶Si型太陽電池の主流になっているPERC型の電極構造の太陽電池セルを作製しました。
CSPのプロジェクトマネージャーによると、そのセルの変換効率は19.7%で、「約22.2パーセントの効率を持つ現在のPERC型としてはやや低いが、古い廃棄されたモジュールの太陽電池の効率太陽電池よりは高い」としています。
製造プロセス中に市販の超高純度シリコンは追加されておらず、製造元に関係なく、さまざまなタイプのモジュールからシリコンをリサイクルすることが出来るということです。
<参考URL>
https://www.ise.fraunhofer.de/en/press-media/press-releases/2022/solar-cells-from-recycled-silicon.html
https://pv-magazine-usa.com/2022/02/07/recycled-silicon-used-in-19-7-efficient-perc-solar-cells/
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06588/