太陽光廃棄等について、経産省が省庁横断の検討会を立ち上げ
2012年から始まった再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)により、太陽光発電の導入が進んできました。しかし、景観の悪化や土砂災害の懸念、不法投棄などで地域住民らとトラブルになるケースも出ています。2021年度までに太陽光施設などを規制する条例を制定した自治体は184で、6年間で7倍に増加したといいます。
2030年度までに温暖化ガスの排出を13年度比で46%減らす政府目標がある一方で、太陽光パネルなどの設置に適した用地が限られる中での導入加速が課題となっています。
そこで、省庁間の連携を強化し検討するため4月21日に初会合を開かれました。経済産業省と環境省、農林水産省、国土交通省の4省が共同で事務局を務めます。再生可能エネルギーを国内で最大限導入するため、施設の適正管理や地域住民の理解促進、太陽光パネルの廃棄問題の解消を目指します。
検討会の資料によると、国内では、年間約4,400tの太陽電池モジュールが使用済となって排出されているとのことです。そのうち約3,400tがリユースされ、約1,000tがリサイクルまたは処分されていると推計されています。
2030 年代後半には年間約50~80 万t の太陽電池モジュールが排出される見通しです。ただ、設計・施工の不具合や災害、故障、リプレイス等によって、一定割合は製品寿命よりも前倒しで排出されることも想定されています。
出典:環境省
また、検討会では、以下のようなデータ連携や廃棄費用積立制度についての議論、指摘もありました。
■廃止・廃棄段階の論点例
今後の太陽光パネルなどの大量廃棄に向け、リサイクル・リユースを含む適正な処理等が確実に行われるよう、データを活用した連携をはじめ、関係省庁や地方自治体などでさらなる対応が必要ではないか。
■太陽光発電設備の廃棄費用について
発電事業者が積立てを行う制度について「太陽光パネルの廃棄問題については、この制度が整わないとしっかりした太陽光パネルのリサイクル・廃棄は難しい。FIT制度によらない太陽光発電の導入も進んでくる。その場合も含めて、しっかりした検討が必要ではないか」。
今後の国内の太陽光発電導入・普及にあたっては、導入から廃棄までの各実施段階に応じて、事業者が適正な対応を実施し、太陽光発電設備に対する信頼を高めていくことがますます求められていくことになるでしょう。
参考URL:経済産業省-第1回 再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会(2022年4月21日)