ワイズコンサルティング、台湾の太陽光モジュールの廃棄・リサイクル事情について発信
ワイズコンサルティンググループは台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2022年7月第4週号で、台湾の太陽電池モジュールの廃棄に関する課題やビジネスチャンスについて情報発信をしています。
以下ご参考
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000149.000059899.html
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【台湾情報】太陽電池モジュールの廃棄年間1万トン超へ、リサイクルに商機<ワイズ機械業界ジャーナル2022年7月第4週号発行>
〜台湾エネルギー・機械・自動車業界の最新動向を分析する〜
<太陽電池モジュールの廃棄年間1万トン超へ リサイクルに商機>
使用済み太陽電池モジュールを原材料源に
各国で温室効果ガスの実質排出ゼロ(ネットゼロ)が目標に掲げられ、将来的に太陽光の発電比率が40%を上回る可能性もあると指摘される中、太陽電池モジュール原材料の需要が拡大しているが、原料の発掘や加工は一部の国のみで行なわれている。
また、新型コロナウイルス感染症流行で多結晶シリコンが供給不足となり、価格が高騰したことなどから、太陽電池サプライチェーンの脆弱性が明らかになった。
太陽電池モジュールは寿命を迎えると廃棄物として処理されていたが、需要の大幅増が予想されることなどから、サプライチェーンのリスクを軽減する重要な原材料源としての価値が高まっている。使用済み太陽電池モジュールをリサイクルすることで得られる原材料の価値は数十億米ドルに達するとみられている。
回収原材料、30年に価値27億ドルへ
技術の向上により、使用済み太陽電池モジュールから価値のある原材料を回収することは容易になった。その価値は今年の1億7000万米ドルから、30年には27億米ドルへと、指数関数的に増加すると予想されている。
太陽光発電は00年代に普及し始め、太陽電池モジュールの製品寿命は約25年であるため、当初設置された太陽電池モジュールが廃棄され始めている。16年の廃棄量は世界全体で50万トンに満たなかったものの、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の予測によると、30年の廃棄量は800万トンに上り、50年時点でも600万トンに達する見通しだ。
台湾の廃棄量は毎年10万トン以上へ
行政院環境保護署(環保署)の統計によると、2017年の太陽電池モジュールの廃棄量は約3000トンだった。経済部によると、太陽電池モジュールの設置容量は20年に6.5ギガワット(GW)に達し、25年に20ギガワットに上ると予想されている。太陽電池モジュールの製品寿命を20年として計算すると、太陽電池モジュールの23年の廃棄量は1万トンに上り、35年以降は毎年10万トンを超える太陽電池モジュールが廃棄される見通しだ。
また、太陽電池モジュールは毎年、自然災害により全体の0.5%が廃棄される。ここ数年は3つの台風により約500トンの太陽電池モジュールが廃棄されており、リサイクルの重要性が高まっている。
現在主流の結晶シリコン太陽電池モジュールの74.2%はガラス、10.3%はアルミフレーム、4%は電池で構成される。ガラスと電池はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)で接着され、アルミフレームにより封止される。環境を汚染する液体が漏れ出すことはないが、廃棄処理決定後の保管、洗浄段階では一般事業廃棄物として扱われ、みだりに捨てることは禁止されている。
リサイクルの仕組み構築、技術開発も
経済部によると、台湾の太陽光発電所で採用されている太陽電池モジュールは全て国際電気標準会議(IEC)の基準を満たしており、20年以上使用しても発電効率が当初の水準より20%以上低下することはない。このため、台湾電力(台電、TPC)による太陽光発電の買取価格の優遇期間(20年)が過ぎても、従来の太陽電池モジュールで自社用やTPC、民間企業への販売用に発電を続けることができる。発電効率の高い新しい太陽電池モジュールに切り替えることも可能だ。