住友商事と東北大学、CO₂とシリコン系廃棄物を活用した炭化ケイ素合成技術の実証事業を開始

住友商事株式会社(本社:東京都千代田区)は、国立大学法人東北大学(所在地:宮城県仙台市)と共同で、CO₂とシリコン系産業廃棄物を活用した炭化ケイ素(SiC)合成技術の実証事業を開始すると発表しました。この取り組みは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として実施され、カーボンリサイクルと産業廃棄物の再資源化を同時に実現し、半導体などの材料として用いられる炭化ケイ素の一部国産化に寄与することを目的としています。

背景と課題
太陽光発電の普及に伴い、2030年代には年間約80万トン(約4,000万枚)の使用済み太陽光パネルの廃棄が見込まれています。これらのパネルにはシリコンセルが含まれており、その廃棄量は約2~3万トンと推定されています。また、半導体製造過程でもリサイクルが困難なシリコン系産業廃棄物が発生しています。一方、EVやデータセンターで用いられるパワー半導体材料や、研磨材、耐火材などに利用される炭化ケイ素は、日本の半導体や製鉄産業を支える重要な資源ですが、その8割を海外からの輸入に依存しており、製造過程での高いエネルギー消費やCO₂排出量が課題となっています。

実証事業の概要
本実証事業では、CO₂とシリコン系産業廃棄物を原料として利用し、炭化ケイ素を合成する技術の開発と商用化に向けた製造コストの削減および国内サプライチェーン構築の検証を行います。具体的には、住友商事が原料となるCO₂とシリコン系産業廃棄物の安定調達ルートの調査研究や国内外の市場開発および販路構築を担当し、東北大学が炭化ケイ素製造における反応条件の最適化や高純度化プロセスの検証、カーボンリサイクルに関する技術・特許および学術的知見の提供を行います。実証期間は2025年4月から2028年3月までの約3年間を予定しており、中国電力大崎発電所内にNEDOが整備したカーボンリサイクル実証研究拠点にて実施されます。

今後の展望
この実証事業を通じて、シリコン系廃棄物の処理に課題を抱える半導体産業や太陽光パネル産業、そして材料として炭化ケイ素を必要とする半導体産業やセラミック産業、耐火物産業など、幅広い産業のサプライチェーン課題の解決に向け、高純度の炭化ケイ素の製造を実現することが期待されています。また、CO₂の有効利用と産業廃棄物の再資源化を同時に達成することで、カーボンニュートラル社会の実現にも貢献する取り組みとなります。

https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/topics/2025/group/20250514

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