太陽光パネルのリサイクル義務化法案、今国会提出を見送り

浅尾慶一郎環境相は、2025年5月13日の記者会見で、使用済み太陽光パネルのリサイクルを義務化する法案について、今国会への提出を見送ると発表しました。法案の提出見送りは、費用負担の在り方や既存のリサイクル制度との整合性など、制度設計上の課題が解決されていないことが主な理由とされています。

背景と課題
太陽光パネルのリサイクル義務化に向けては、2024年9月から2025年3月にかけて、環境省と経済産業省が合同で開催した会議で議論が進められ、パブリックコメントを経て「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について」としてまとめられました。その後、中央環境審議会会長から環境大臣に意見具申が行われ、内閣法制局との間で法制的な検討が進められてきました。

しかし、太陽光パネルの設置形態や作業工程、費用の実態を整理し、関係法令との整合を図る必要があるとの判断から、今国会での法案提出は見送られることとなりました。特に、リサイクル費用については、拡大生産者責任(EPR)の考え方に基づき製造事業者が費用負担する案が検討されていましたが、自動車リサイクル法など他の制度との整合性が課題となっています。

今後の見通し
浅尾環境相は、「太陽光パネルのリサイクルは喫緊の課題であり、可能な限り早期の法案提出を目指す」と述べ、引き続き制度設計の見直しを進める方針を示しました。また、現在実施している技術開発や設備導入支援、高度リサイクル法による認定は継続して取り組むとしています。

2030年代には、太陽光パネルの大量廃棄が見込まれており、リサイクル体制の整備が急務となっています。法案の提出見送りにより、リサイクル施設への投資や技術開発の停滞が懸念されますが、より実効性の高い制度設計を目指すことで、持続可能なリサイクル体制の確立につながることが期待されています。

https://www.youtube.com/watch?v=n3xMa25w30g&t=155s

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