日本:DOWAエコシステム、リユースPVパネル活用の発電事業実証を開始

【福島 2025年12月16日】

DOWAエコシステムは、子会社の株式会社相双スマートエコカンパニー(福島県大熊町、以下 相双SEC)において、リユースPV(太陽光)パネルを活用した発電事業の実証試験を開始した。大阪・関西万博で実際に使用されたPVパネルを含む使用済みパネルを対象とし、撤去からリユース、リサイクルまでを一体で提供するワンストップサービスの確立を目指す。

背景と課題
2012年のFIT制度創設以降、太陽光発電の導入は急速に拡大してきた。脱炭素社会の実現に向け、今後も導入は加速すると見込まれる一方、使用済みPVパネルの大量排出は2030年代以降に本格化すると予測されている。現在、使用済みパネルの多くは海外へ輸出されているとみられ、国内における銀や銅などの有価金属の有効活用や、有害物質の適正処理が課題となっている。
こうした中、リユース・リサイクル・適正処分を一体で推進する国内体制の構築が強く求められており、特にリユース分野は整備が遅れているのが現状である。

技術・事業モデルのポイント
① リユース分野への事業領域拡大
DOWAエコシステムグループとして初めてリユース分野に本格参入。従来のリサイクル事業に加え、使用可能なPVパネルを再活用することで、パネルのライフサイクル全体での環境負荷低減を図る。
② 撤去から再利用までの一貫体制
子会社のジオテクノス株式会社が使用済みPVパネルの撤去・収集運搬を担い、相双SECが複数ルートからパネルを受け入れ、検査によってリユース可否を判断。再利用可能なパネルは同社工場敷地内に設置し、発電試験を行う。
③ 再利用不可パネルの確実な資源回収
リユースに適さないPVパネルは相双SECでリサイクル処理を実施し、有用金属を回収。リユースとリサイクルを組み合わせた循環型モデルを構築する。

実証試験の内容
実施開始:2025年11月
対象:リユース可能な使用済みPVパネル(大阪・関西万博で使用されたパネルを含む)
発電用途:
自家消費
売電
将来的にはグループ企業内での活用を検討
検証内容:
新品PVパネルとの発電性能比較
製造年代・機種ごとの差異分析
リユース実用性の検証

官民連携と地域的意義
本事業は、福島県が推進する「福島イノベーション・コースト構想」の一環として位置づけられる。相双SECは、DOWAエコシステムを含む8社の出資により設立され、震災復興に伴い発生する不燃性廃棄物やPVパネルのリサイクルを担ってきた。
今回の実証では、大和ハウス工業株式会社が大阪・関西万博で使用したPVパネルを提供し、株式会社UPDATERが開発企画・施工管理面で協力するなど、官民・地域連携による実証体制が構築されている。

効果と展望
本実証を通じて、リユースPVパネルの発電性能や適用条件が明確化されれば、廃棄量削減、資源循環の高度化、国内循環モデルの確立につながることが期待される。DOWAエコシステムは今後、調達先や協業先を拡大し、PVパネルのライフサイクル全体を通じた環境負荷低減と資源有効活用を推進していく方針だ。

https://www.dowa-eco.co.jp/release/20251216_2602.html

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