欧州:CEA、ガラス/バックシート型PVパネルを“研磨で層分離”する新リサイクル技術を報告

【2025年11月21日】

欧州の研究チーム(CEAを中心)は、使用済み太陽光パネル(Glass//Backsheet型が主対象)について、高速研磨ベルト(サンディング)で層を選択的に削り取り、材料を粉末として回収する機械式デラミネーション技術を報告した。EU資金の「EVERPV」プロジェクトでは、本技術の産業パイロットラインをフランスで整備しており、実機スケールでの検証結果も示している。

背景と課題
PV導入拡大に伴い、将来的に大量の廃パネル処理が課題化する見通しがある一方、既存の分離・回収手法はコスト、回収歩留まり、環境負荷、回収材の純度のいずれかで課題が残り、「決定版」が定まっていないとされる。

技術のポイント(論文の主張整理)
① 研磨で層を“順番に”剥がし、粉末として分画回収
高速の研磨ベルトでバックシート層→封止材・セル等の層を段階的に除去し、異なる粉末(分画)として回収する設計。

② Glass//Backsheet型(現在のEOL主流)に適用
当面主流となるGlass//Backsheet型のEOLパネルを主対象に据え、工程・装置・パイロットスケール結果を提示。

③ 産業パイロットライン(EVERPV)での実装を想定
EUプロジェクト「EVERPV」の枠組みで、フランスの産業パートナーが専用パイロットラインを整備し、スケールアップを進めるとしている。

効果と展望
論文は、研磨による機械式デラミネーションが、材料回収の純度・分画の観点で有望であり、Glass//Backsheet型EOLパネルを対象に産業化に向けた検証が進んでいる点を示した。今後は、回収した粉末分画の下流処理(ポリマー・金属等の分離精製)を含めた全体最適が、実装・事業化の焦点になる。

https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/aesr.202500276

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