欧州のPVサイクル事例、「PV CYCLE」の概要とリサイクルスキーム

今回は、欧州のPVサイクル事例として、「PV CYCLE」の概要とリサイクルスキームについて考えていきます。

■有害物質が含まれる廃電気電子機器(Waste Electrical and Electronic Equipment:WEEE)の発生抑制、およびリサイクルの促進による埋立処分量の削減、環境・健康への影響低減を目的として「WEEE指令」が制定されました。その後、2012年7月には、使用済み太陽電池モジュールを含む廃電気・電子機器の発生抑制、およびリサイクルの促進による埋立処分量の削減等を目的に、「改正WEEE指令」が制定されています。このWEEE指令の改正に先立ち、欧州太陽光発電協会(EPIA)、ドイツソーラー産業協会(BSW)、太陽電池モジュールメーカー6社によって、2007年7月にPVCYCLEは設立されました。

PV CYCLEは、使用済み太陽電池モジュールの自主的な回収・リサイクル・適正処分システムの構築を目的とした非営利団体(生産者責任機関)であり、2010年より活動を開始しています。PV CYCLEは、改正WEEE指令に基づく各国法に準拠した処理業者の一つであり、欧州市場における太陽電池モジュールメーカーの90%以上が加盟しています。

PV CYCLEが欧州全体で回収した使用済み太陽電池モジュール重量(累積)は、2010〜2017年末で約19,195トンに上っており、回収重量のうち、その大半が非住宅で運用されていた太陽電池モジュールとなっています。各国で使用済み太陽電池モジュールの回収・リサイクル・適正処分に取り組むPV CYCLEは、各国の法制度に準拠して活動を行っています。

■PV CYCLEによれば、2015年までに回収された太陽電池モジュールは1万3,300トン、その80%がSi系です。回収されたSi系モジュールは、基本的にガラスリサイクル事業者による処理がなされています。ガラスとアルミフレームを回収することで、改正WEEE指令による義務量は既に達成可能とされていますが、EUのプロジェクトとして、回収率・リサイクル率を可能な限り高めるための技術開発、回収された資源を太陽電池モジュールとして再生するための技術開発なども実施されています。

回収ポイントは、計347ポイントです(2014年11月時点)。しかし、この中で実際に活動しているのは、約35箇所で、回収ポイントの約7割は、ドイツ、イタリア、フランスに位置しています。回収ポイントは、殆どの場合、太陽電池モジュールの施工業者が運営しています。

 

■欧州最大の太陽光発電導入国であるドイツでは、太陽電池モジュールメーカーが第三者機関に対して、モジュールの処理を委託することが可能と国内法で定められています。そのため、メーカーは国内法に準拠した処理業者を選択し、使用済太陽電池モジュールの処理を委託することが可能となっています。例えば、住宅用の太陽電池モジュールが廃棄された場合、住宅から回収ポイントまでの輸送費用は所有者が負担しますが、回収ポイントからリサイクルプラントまでの輸送費用、およびリサイクルにかかる費用は、WEEE情報等管理団体(Clearing House)が計算し、太陽電池モジュールメーカー等が負担しています。なお、将来の廃棄処理費用についての保証額として、各太陽電池モジュールメーカーが負担する費用は、「住宅用太陽電池モジュールの販売重量×回収率(予測値)×重量あたり必要費用」に基づいて算出されています。

その一方で、非住宅用の太陽電池モジュールは、発電事業者と太陽電池モジュールメーカーの間で、その回収・リサイクル・適正処分に係る費用負担を取り決めことが可能となっています。しかしながら、その実態としては、通常の産業廃棄物と同様に、発電事業者が費用を負担するケースがほとんどとなっています。

PV CYCLEドイツでは、排出された使用済太陽電池モジュール(住宅用)の枚数が、40未満の場合には、自治体に設置された回収ポイントへの輸送までを所有者が手がけ、それ以降のプロセスはPV CYCLEが実施します。その一方で、排出されたモジュール(住宅用)が40枚以上または非住宅用モジュールの排出の場合には、太陽電池モジュールの解体・撤去までは所有者が、輸送以降のプロセスはPV CYCLEが実施する仕組みとなっています。

■運営費用としてPV CYCLEでは、会員企業(製造業者等)から会費を徴収し、太陽光発電設備の回収から処理までを担っています。

会費は、各国の太陽光発電設備の回収・処理にかかるコストと、各製造業者の前年シェア(重量比率)と、各国の太陽光発電設備の廃棄量(予測値)をかけあわせて算出しています。廃棄量の予測値は、過去の導入量に対して、経過年数ごとの廃棄率(PV CYCLEが算出)をかけて算定し、解体にかかる費用は、太陽光発電設備のユーザーが負担するものとしており、含まれていません。改正WEEE指令でも解体は製造業者の責任に含まれていません。太陽電池モジュールの処理施設がない国では、他国に輸送し処理を行うため、輸送費が高くるなど、国によって回収・輸送・処理費用が異なるため、製造業者の会費は国によって異なっています。複数国にまたがって太陽電池モジュールを販売している製造業者は、それぞれの国でPV CYCLEと契約する仕組みとしており、PV CYCLEからの請求書や取引口座も国ごとに分かれています。現時点で廃棄量は非常に少ないため、処理費用の会費への影響は意外と小さく、製造業者の販売シェアの方が大きく影響しています。

 

■国内の加盟団体としては、ソーラーフロンティア株式会社があります。ソーラーフロンティア・ヨーロッパとして2010年9月8日にPV CYCLEに加盟したと発表しています。その他、シャープ、京セラ、三洋電機も参加しています。

日本でも一つのリサイクルシステム事例として参考にされていることが多く、今後、PV CYCLE以外の機関・企業が参入してくる可能性もあるが、現在、同団体が果たしている役割は大変大きいと考えられています。

 

<参考サイト>

○欧州における使用済み太陽電池モジュールの回収・リサイクル・適正処分(2019年)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mcwmr/30/6/30_403/_pdf

 

○太陽光発電設備等のリユース・リサイクル・適正処分に関する報告書(環境省 平成27年6月)

http://www.env.go.jp/press/files/jp/27415.pdf

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