環境省、「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」を公表
2021年7月26日に政府が公表した「地球温暖化対策計画」の原案で、温室効果ガスの排出量を家庭部門で66%削減する検討をしていることが明らかになりました。また、27日には「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」にて新築戸建て住宅の約6割に太陽光発電設備を設置することが表明されました。
カーボンニュートラルの実現に向けてますます太陽光発電に注目が集まっています。
そのような中で、環境省は、2021年5月18日に「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」を公表しました。
以下にその内容をまとめました。
策定の目的
太陽電池モジュールの延命や資源の有効利用の手段の一つとしてリユースの推進が期待されていますが、以下のような問題が生じています。
■リユースと称して使用できないものを海外へ輸出する不適正輸出
■リユース可能であるにもかかわらず処分される
そのため、太陽電池モジュールのリユース品としての客観的な状態、流通できるための条件や対処すべき事項について検討し、
不適正な輸出を防止するとともに、適切なリユースを促進するためにガイドラインが策定されました。
本ガイドラインに従って確実にリユースできるものを買手へ関連情報とともに受け渡し、
買手はそれが本ガイドラインに即したものであることの確認を通じて、
リユースに適した太陽電池モジュールが国内及び国外のリユース市場で流通することを目指します。
基本的な考え方
本ガイドラインは、「使用済み電気・電子機器の輸出時における中古品判断基準」の既存基準を参考にしながら太陽電池モジュールの特徴を踏まえて
以下の4つの要素からリユース品としての客観的な状態、流通できるための条件や対処事項を具体的に示しています。
[A]製品情報・外観
[B]正常作動性
[C]梱包・積載状態
[D]中古取引の事実関係及び中古市場について
特に、「[B]正常作動性についての解説」の一部を記載します。
■リユース品としての発電性能と絶縁性能は、太陽電池モジュールの基礎的な要素であるため、性能を有していることを示すことが必要となります。
■性能検査について、解体前にメンテナンス業者などに相談し現地で実施することで検査費用が安価となる場合があり、リユース品として流通しやすくなる可能性があります。
適用範囲
対象:太陽電池モジュール、太陽電池モジュールと一体的にリユースされるジャンクションボックス及び接続ケーブル等
対象外:パワーコンディショナーや接続箱
活用方法
ガイドラインの活用方法を想定される使用者ごとに整理した「表-2 読者視点別に整理した本ガイドラインの活用方法例」の一部抜粋を記載します。
イ. 中古太陽電池モジュールを販売しようとする者
所有者や発電事業者が事業撤退、災害等により太陽電池モジュールを廃棄・リユースを検討する場合に、
本ガイドラインに基づき、リユース品として扱うことが適当か否かの判断の一助とする。
また、リユース品としての客観的な状態、流通できるための条件や対処事項について確認し、検査や梱包等の適切な対処方法に従う。
ウ. 解体・撤去事業者
解体・撤去事業者やメンテナンス事業者は、太陽電池モジュールが廃棄される場合に、本ガイドラインに基づき、
リユース品として扱うことが適当なものの客観的な状態を確認する。必要に応じて、所有者や発電事業者へリユース可能品の有無を伝達する。
法律上の責務
①太陽電池モジュールをリユース品として扱う場合には、古物営業法の遵守が求められます。
②太陽電池モジュールを処理(リサイクル、埋立処分等)する場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の遵守が求められます。
※太陽電池モジュールの適切な処理については、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)」を参照ください。
以上です。
ガイドラインには以下のように、写真付きでリユース品としての取り扱いがNGな事例や、性能の検査例が掲載されています。またリユース品の売手が実施すべき対処事項を一覧にした「チェックシート(案)」も掲載されています。
●ガラスの割れがあるリユース不可な事例
●破損の可能性がある不適切な梱包状態の例
●発電性能の検査実施時の参考写真
詳細はぜひ一度ガイドラインをご確認ください。
<参考資料>
令和3年5月18日