NEDO「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」の概要について

NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の2014年度~2018年度に行われた「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」の概要を整理します。

背景及び事業目的:

①固定価格買取制度の下で想定されている廃棄処理費用はシステム価格の5%(※)。この範囲内で処理できる技術の確立が必要。システム価格は約30万円/kW程度で推移しているため、廃棄処理費用は 1.5万円/kW(15円/W)程度に相当。※他に土地造成費、系統連系費も含むが、割合は小さい。

②使用済み太陽光発電システムのリサイクルには、リサイクル処理費用の他に、回収費用やシステムの撤去費用などが発生。リサイクル処理費用、回収費用、撤去費用がそれぞれ同程度と仮定すると、リサイクルにかかる費用の総額を現在の廃棄処理費用と同レベルに保つためには、リサイクル処理費用は約5円/W以下とする必要がある

③太陽電池モジュールは長期間の使用に耐えられるように封止剤で固めた非常に強固な構造。リサイクル時は封止材の分離・除去が最も困難。今後、太陽電池モジュールの大量廃棄により、産業廃棄物の最終処分場はひっ迫され、これを解消するためには、資源の有効利用を図る必要あり。

事業・プロジェクト概要:

事業期間:

平成26年度~平成30年度 (2014年度~2018年度 5年間)

予算:

平成30年度  1.1億円(5年間で10.2億円)

概要:

太陽光発電は、下記のような経緯で成長し、今後もさらに大幅な普及拡大が見込まれます。

・平成10年(1998年)に住宅用太陽光発電システムの国内導入件数が1万件に到達

・平成16年(2004年)に国内累積導入量1GWを達成

・平成24年(2012年)には住宅用太陽光発電システムの国内導入件数が100万件を突破、7月の再生可能エネルギーの固定価格買取制度開始によって導入はさらに加速

・平成26年2月には累積導入量も13.5GW到達

 

一方、大量導入が実現すると、使用済みの太陽光発電システムが大量発生することが予想され、太陽光発電の健全な普及拡大には、使用済みのシステムを適正に処分可能な手段を確保することが重要です。

 

また、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の附帯決議において、「耐用年数経過後において大量の廃棄物の発生を防ぐ観点から、設備のリサイクルシステム構築等、早急に必要な措置を講ずること」が求められています。

 

このような状況に対して、NEDOでは、太陽光発電設備のリサイクル社会の構築に向け、廃棄物の大量発生の回避を低コストに実現する技術として、使用済み太陽光発電システムのうち、分解処理が困難である太陽電池モジュールの低コスト分解処理技術を確立するとともに、撤去・回収・分別・リユース関連技術などについて課題と対策を検討することを目的とし、以下の研究開発や調査を実施します。

 

◆研究開発項目〔1〕「低コスト撤去・回収・分別技術調査」

使用済み太陽光発電システムの撤去コストや回収コスト、分別コストを低減する低コスト撤去技術、低コスト回収技術、低コスト分別技術について、実現可能性や有効性を検証し、課題や目標コストを明確化します

 

◆研究開発項目〔2〕「低コスト分解処理技術FS(開発)」

太陽電池モジュールをガラスや封止材、金属類などに分解する工程に関して、様々な太陽電池モジュールを対象とした低コスト汎用分解処理技術に加え、結晶シリコン太陽電池や薄膜系太陽電池など、太陽電池モジュールの種類に応じた専用の分解工程とすることでさらなる分解コストの低減を図る低コスト分解処理技術を開発し、処理コストを明確化します。

また、太陽電池モジュールを分解することで回収される有価物について、リサイクルコストの低減に寄与するため、有価物の回収率向上や、価値が高い状態での回収を可能とする、有価物高付加価値化技術を開発し、処理コストの低減効果を明確化します。

 

◆研究開発項目〔3〕「低コスト分解処理技術実証」

上記の研究開発項目〔2〕で目標処理コストの達成目処や、十分なコスト低減効果が確認された技術については、コスト低減効果を実証します。

最終目標:低コスト汎用分解処理技術、低コスト専用分解処理技術を適用した試作プラントを構築し、分解 処理コスト5円/W以下(年間200MW処理時)を実証する。

成果:分解処理方法として、粉砕+色彩選別法、ホットナイフ法、パネルセパレータ法、熱分解法を開発した。すべての処理方法で、年間200MW処理時の分解処理コスト5円/W以下を実証した。

 

◆研究開発項目〔4〕「太陽光発電リサイクル動向調査」

太陽光発電システムの適正処分に関わる国内外の技術開発動向、普及動向、政策動向、実施事例などを調査します。

また、国内の太陽光発電システムの分布調査を行い、分布に基づいた排出量予測を行います。さらに、上記の研究開発項目〔1〕~〔2〕を横断的に評価する手法についても検討を行います。

最終目標:国内の太陽光発電システム導入分布を考慮した排出量予測をまとめる。国内外の各種動向を調査し、本プロジェクトへのフィードバック情報をまとめる。

成果:最新の技術動向を俯瞰的に整理した「開発戦略マップ」を作成した。排出量推計モデルを構築す ると共に排出量推計の精緻化を実施し、経済産業省から公表した。海外諸国におけるリサイクル 技術の開発動向を継続的に調査し、状況を把握した。リサイクル技術の評価手法を検討し、本プ ロジェクト下で実施されている「低コスト分解処理技術実証」の各テーマを対象とした環境性、社会性の評価を実施した。

 

◆研究開発項目〔5〕「使用済み太陽電池モジュールの低コストリユース技術の開発」

使用済み太陽電池モジュールを低コストにリユースできる技術を開発します。

最終目標:使用済み太陽電池モジュールの回収・運搬、分別、修復コスト180円/枚を達成する技術を開発する(使用済み太陽電池モジュールの大量発生が見込まれる2030年)。

成果:太陽電池モジュールの低コスト修復技術を開発し2030年に180円/枚以下の達成の可能性を見出 した。太陽電池モジュールのリユースの評価方法を確立し、2030年に180円/枚以下を達成できる 低コスト化を見通せることができた。

実用化・事業化に向けた戦略:

・「低コスト分解処理技術実証」については、分解処理法として、粉砕+色彩選別法、 ホットナイフ法、パネルセパレータ法、熱分解法を開発し、実証プラントを構築して分解処理コストを試算したところ、年間200MW処理時でNEDO目標の5円/W以下 を達成

・プロジェクト終了後、使用済み太陽電池モジュールの発生量に応じて、本リサイクル処理システムで事業を実現が可能。排出量予測では、200MWを超える排出量 は2030年ごろと推計。 NEDOとしては今後の事業において、実プラントスケールの実証や再生ガラスの用途開拓等を通じて支援する予定。

・「使用済み太陽電池モジュールの低コストリユース技術の開発」については、低コスト修復技術を確立し、2030年頃に修復をリユース事業者に委託するというケースでコスト試算を行い、NEDO目標である180円/枚の達成の可能性を見出した。 また、リユース技術を確立すると共に低コスト化を実現するための高速測定を開発。2030年に向けて、分別処理時間の更なる短縮、光熱水費の削減、労務費の削減を進めて行くことで、NEDO目標である180円/枚の達成を見通せた。

以上の通り、成果の実用化・事業化の道筋は明確である

事業の波及効果:

・太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクトを推進したことにより、従来普及が進まなかかったリサイクル分野に対して、低コスト分解処理技術の可能性を示したことで、事業化が促され、多くの産業廃棄物処理業者の参入により、市場を活性化させ、資源の有効活用を促進させる効果があると見込まれる。

・また、太陽電池モジュールの排出は2030年代半ば以降、大量に発生するが、リサイ クル技術の実用化により、最終処分となる埋立廃棄物量を最小限にとどめることや ガラスを中心とした再生品の活用が見込まれる。

・本プロジェクトで報告された太陽電池モジュールの排出量見通しによれば、排出量のピークは2035~2037年頃で、年間約17~28トン程度となる。ここで、ピーク排出量が約17万トンとなるシナリオに対し、リサイクルによる埋立廃棄物削減率(再資源化、 二次利用、熱回収含む)を90%とすると、排出量のピーク時には約16万トンの埋立廃棄物が削減され、その後も12万トン/年以上の埋立廃棄物が削減される。そして、 2030年から2050年にかけて削減される埋立廃棄物の合計(累積量)は約380万トンと見込まれる。

 

<参考資料>

太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト 最終更新日:2019年4月25日

研究評価委員会「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」(事後評価)分科会 2019年12月5日

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です