経産省、第7回 再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会を開催
経済産業省は、2022年7月28日に 「第7回 再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」を開催しました。
2022年4月、関係省庁(経産省・農水省・国交省・環境省)が共同で検討会を立ち上げました。今回の第7回で『提言案』をとりまとめ、今後は、パブリックコメントを経て実際の運用に反映されるということです。
今回は、提言案から「廃止・廃棄」に関する部分を一部ピックアップしてご紹介します。
■「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会提言(案)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/saisei_kano_energy/pdf/007_01_00.pdf
はじめに
・2050 年カーボンニュートラルの実現や 2030 年度の野心的な再エネ導入目標の実現に向け、再エネを更に導入拡大していくためには、災害や環境への影響、設備の不法投棄等への懸念に適切に対応し、地域の理解を得た上で地域と共生しながら事業を進めていくことが大前提となる。本検討会の提言を踏まえ、関係省庁が中心となり、関係自治体とも連携した速やかな対応が実施されることを期待する。
・本検討会は、今後とも関係省庁による施策の進捗状況等の確認を行うとともに、更に検討すべき課題などについて、適切にフォローアップを行っていき、再エネ発電設備の適正な導入及び管理に向けて継続的に取り組んでいく。
Ⅰ.再生可能エネルギー発電設備の導入から廃棄までの事業実施段階における現状の取組
4.地域と共生した事業規律の確保に関するこれまでの取組
(廃止・廃棄段階)
■「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」の策定・更新(2016 年策定、 2018年更新)や「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」 の策定(2021年)
■2020 年6月成立のエネルギー供給強靱化法による再エネ特措法の改正により、廃棄等費用の積 立制度を措置。2022 年7月から最も早い事業の積立てが開始(2020 年成立、2022年施行)
Ⅱ.再生可能エネルギー発電設備の導入から廃棄までの事業実施段階における課題と取組の方向性
4.廃止・廃棄段階
(1)適正な廃棄処理に向けた関係者への情報発信・周知
・廃棄物処理業者においては、適切な廃棄物の処理のため、有害物質の含有や溶出等の観点から廃棄物の確認を徹底する必要があり、廃棄物処理業者に対して廃棄物の性状(重金属等の含有等の状況)等に関する情報の提供を徹底することが重要である。現在、国産メーカーについては太陽光パネルの含有物等の情報の公開を行っているケースも増えている一方、外国産メーカーなどにおいて情報発信が不足しているケースもあることから、こうしたものも含めた情報の整備・共有方法の検討を行うことが必要である。その際、必要に応じて、表示の義務づけなどの制度的措置の検討も行うことが考えられる。
(2)リサイクル・適正処理に関する対応の強化
2012 年から始まった再生可能エネルギーの固定買取価格制度によって大量導入された太陽光パネルが、2030 年代に排出量が顕著に増加すると想定されています。※NEDO の推計によると 2035~2037 年頃に年間約 17~28 万トン、環境省の推計による と 2030 年代後半に年間約 50~80 万トンが排出されると見込まれる。
非FIT・非FIP 案件の増加も見据えつつ、再利用やリサイクル、適切な廃棄には地域と協力した回収フローの構築が必要である一方で、輸入品が多い製品の廃棄物に関するリサイクル等の循環管理の法的ルールはこれまで策定されていない状況にある。また、事業の廃止と廃棄物該当性の判断との間にギャップがあるという指摘もなされている。関係者が連携して新たな制度を整備するには時間がかかること等を踏まえると、事業の廃止から撤去・リサイクルの制度的措置について速やかに検討を開始すべきである。なお、事業の廃止に当たっては、発電事業者が設備の絶縁処理を行い、安全に解体できる状態にすることが重要である。
★廃止・廃棄段階に関するアクション
(1)速やかに対応するもの
・使用済みの太陽光発電設備については、リユース・リサイクル等のガイドラインや廃棄物処理法に基づき、事業の廃止のタイミングで事業者が自らの責任において適切に対応するよう、2022 年7月から開始された再エネ特措法に基づく廃棄等費用積立制度の活用も含め、関連する法律・制度等を適切に運用する。【環・経】
・太陽光パネルの含有物質等のメーカーによる情報発信について、廃棄物処理業者による太陽光パネルの受入れやリサイクル等に必要とする情報を踏まえつつ、業界団体とも連携しながら行っていく。その際、含有物質が分からないものについては、成分分析等の実施のあり方を検討する。【経・環】
・関係省庁が連携し、太陽光発電設備の廃棄ルール等の必要な情報について、住宅用太陽光パネルの所有者や農業の現場の方々などへ周知を行う。【経・農・環】
・廃棄物処理業者に対するヒアリング等を通じ、太陽光パネルの受入れやリサイクル等に関する課題の明確化を速やかに行う。また、制度的措置も含めた対応強化の検討にあたり、再エネ特措法の認定に関する情報など、関係省庁が保有する情報の共有を速やかに進める。【経・環】
(2)法改正も含め制度的な対応を検討し措置するもの
・事業廃止後に太陽光パネルが危険な状態のまま放置されることがないよう、関係省庁において事業廃止から使用済太陽光パネルの撤去・処理までの制度間の連携強化の検討を行う。加えて、事業廃止後の使用済太陽光パネルの安全な引渡し・リサイクルを促進・円滑化するための制度的支援や必要に応じて義務的リサイクル制度の活用や太陽光パネルの含有物質の表示義務化等について検討する。【環・経】
・支援期間終了後の設備更新・有効活用については、長期電源化・集約化の観点から、関連する審議会(総合エネルギー調査会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)において詳細な議論を行い、夏頃までに一定のとりまとめを行うこととする。【経】
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今回の提言案では、「事業廃止後のスムーズな対応のための制度化」と「太陽光パネルの含有物質の表示義務化の検討」について何回か触れられていたかと思います。
現在も、排出事業者は、太陽光パネルの適正リサイクル処理の際、モジュールに使用される環境負荷が懸念される化学物質の含有情報を把握する必要があるため、「WDSシート(廃棄物情報処理シート)」の提供が必要となります。
WDSシートはパネルメーカーのHPや問い合わせにより入手が可能です。
太陽光パネルの裏側にラベルが貼ってありますので、メーカーと品番を控えておくとWDSシートをスムーズに入手できます。
しかし、メーカー、製品によってはWDSシートの入手が困難な場合や、ラベルの汚れ、剥がれ等によりパネルのメーカーや品番が不明な場合があります。提言案でも触れられていた通り、国産メーカーについては太陽光パネルの含有物等の情報の公開を行っているケースも増えている一方、外国産メーカーなどにおいて情報発信が不足しているケースもありますので十分注意が必要です。
尚、パブリックコメントについては以下から募集をしています。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620222018&Mode=0